diary

文化系理系。システムエンジニアだし、小説の翻訳をする。休みはすかさず旅行にでる。

It chooses you (あなたを選んでくれるもの)

「今までの人生でいちばん幸せだったときは、いつですか?」

 

様々なひとにインタビューする中で、皆この質問に対して具体的な過去のひとときを答えていることに、息が止まりそうになってしまった。

 

幸せのピークが存在していること、今はその時よりも幸せではないとはっきり自覚していて、それを口に出せてしまうこと。

たまらなく悲しいと思った。

 

でも私だって、「今までの人生でいちばん幸せだったときは、いつですか?」と聞かれて「今がいちばん幸せ」だなんて言えない。今だって幸せではあるのに。

高校生の頃、家族みんなで暮らしていて、部活も楽しくて、親友もいて、みんなおばあちゃんになるまでずっと仲良くいられると思っていて、自分がするべきと考えている努力を自分でできていて、世界が今よりもっとずっとずっと狭くて、ろくに何も見えていなかった時。見えている狭い狭い世界において、すべてに満たされていた時。ß

どうしてもあの時間の輝きが「幸せだったとき」として頭をよぎってしまう。

間違いなく、今だって、幸せなのに。

最高の旅の絶景とか、瞬間的だけど最高に楽しい時間だっていっぱいあったし、これからも絶対そういう時間いっぱい作っていくつもりなのに。

 

見える世界が広がって、自分が小さくしか見えなくなって、同じことも同じ幸せには感じられなくなったのかもしれない。

 

過去のことがよぎるけれど、でも、それが「いちばん」とは言わない。絶対に言わない。

これからだってもっと幸せなときがやってくると思っているから。

 

それがやってきたその時が結局ピークだったらその後の人生は?と思うとやっぱりたまらなく怖いけれど、でも自分の人生に見切りはつけたくない。自分の未来にいくらでも期待してやる。