笑いと忘却の書 ミラン・クンデラ p.201
『愛の絶対性とは事実上、絶対的な同一性への願望のことである。』
『つまり、私たちが愛している女性が、私たちと同じようにゆっくり泳ぎ、その女性が思い出して幸福になるような、その女性だけに所属する過去などあってはならないということだ。しかし、(娘が自分の過去を思い出して幸福になるとか、速く泳ぐといったように)絶対的な同一性という幻想が打ち砕かれると、愛は大きな煩悶の源になる。』
BUMP OF CHICKEN「宇宙飛行士の手紙」を思い出した。
『どうやったって無理なんだ 知らない記憶を知ることは
言葉で伝えても 伝わったのは言葉だけ
出来るだけ離れないで いたいと願うのは
出会う前の君に僕は 絶対出会えないから』
(クンデラの後半の、同一性が砕かれた場合の煩悶に関してはあまり共感していないけれど、)
大事な経験を出来る限り共有したい、言葉だけでなく、一緒に経験して感覚を共有したいという意味で、『絶対的な同一性への願望』はすごく分かると思った。